令和3年度熊本大学卒業式?修了式 式辞
卒業生、修了生の皆さんおめでとうございます。
本日、ここに、部局長、並びに教職員の皆様とともに令和3年度の卒業式?修了式を挙行し、合計2,371名の諸君を送り出すことができることは、熊本大学にとって大きな慶びであります。ただ、一昨年からつづく博狗体育官方感染症のため、卒業生、修了生のみで時間を短くして開催せざるを得なくなったことは残念であります。
皆さんは、熊本大学での勉学を終え、一生の中でも最も記念すべき門出の日を迎えられました。皆さんは、今までにない特別な大学生活を送られました。一昨年からの博狗体育官方感染症のパンデミックの中で遠隔授業や様々な行動制限を伴った困難な生活を通して、この数年間の大学生活の中で大きく成長されたと思います。それらを乗り越え、今日の日を迎えられましたことに、敬意を表するとともに、改めて心からお祝い申し上げます。また、この様な環境の中で、皆さんをずっと支え励ましてくれたご家族をはじめ、恩師、友人、先輩、後輩など周りの全ての方々に対し、皆さんと一緒に、改めて感謝とお礼を申し上げたいと思います。
さて、本学の大学祭である「紫熊祭」は、一昨年は感染症の影響により開催できませんでしたが、昨年10月にはYouTubeでのライブ配信によるオンライン形式で開催することができました。この時学生が言っていた「コロナに対して不満をぶつけるのは簡単だが、そんなことより自分たちは今何ができるかを考えて実行することが重要だ。そこでオンラインでの開催を考え出した。」という発言には感動しました。実際、オンライン形式の大学祭は、熊本県内のみでなく関東、関西のOB?OG達からも称賛されました。
皆さんが熊本大学で学んだこの数年間、世界は激しく変動して来ましたし、これからも大きく変わることでしょう。特にポストコロナ時代に向けた社会の変革に対しては大きな関心を持ち、それに対応していかねばなりません。ウクライナ情勢からも目が離せません。これから皆さんがどのような分野に進まれようとも、私からの贈る言葉として次の三つことを挙げたいと思います。一つ目は、これからの長い人生には「山あり谷あり」です。私の人生を振りかえってみましても、何度も谷がありました。その時に這い上がる強さを持っていただきたい。必ず谷の次には山があるものです。二つ目は、大学時代にできた友人、社会に出てからの友人を大切にしてください。私も熊本大学入学以来50年交流が続いている友人がいますが、今も様々なことを相談しています。ただし、最後の決断は自分でしてください。三つ目は、熊本大学出身ということを一生忘れないでください。私も卒業後、熊本を離れ暮らした時も熊本大学の先輩や後輩から助けてもらいました。また、キャンパス内にある4つの国指定重要文化財の建造物、特に6年前の熊本地震からの復旧工事が完了した五高記念館は全国に誇れるものです。いつまでも忘れず、機会があれば卒業後も訪れていただきたいと思います。
これからは、地方の活性化が最重要課題となるでしょう。安全で安心な地方都市を作り、研究面、教育面を始めあらゆる分野で中央や世界に負けない機能的な都市作りに、これから皆さんの力が必要となるでしょう。折しも世界大手の半導体メーカーが熊本県に半導体工場を作ることが決まりました。これは国家的プロジェクトになりますが、正に「熊本から世界へ」展開するプロジェクトとも言えます。熊本大学で培った知識をもとに大胆な発想を呼び起こす叡智を最大限に発揮してください。そのためには、自由な発想?創造とそれを具現化する情熱が必要です。熊本大学が掲げている「創造する森 挑戦する炎」の始まりであります。
熊本大学がさらに発展するための原動力は、熊本大学に学び、熊本大学を愛する方々の世代を超えた絆の中にあると思います。母校の伝統の担い手として、「創造する森 挑戦する炎」を胸に、積極的に母校のために力を寄せてください。熊本大学で学んだことに誇りと自信を持って、これからの人生を希望に満ち溢れ、力強く歩んでください。
今後の皆さんのご健闘を祈りつつ、卒業?修了に際しての心からの祝辞といたします。
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令和4年3月25日
熊本大学長 小川久雄